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U.G.M.(利重力身体操作法)理論で考える理想的な肩の使い方・鍛え方 ②

肩のインナーマッスルである「ローテーターカフ(回旋筋腱板)」は「棘上筋(きょくじょうきん)」、「棘下筋(きょっかきん)」、「小円筋(しょうえんきん)」、「肩甲下筋(けんこうかきん)」の4つの筋で構成されています。
これらの筋は肩関節で肩甲骨と上腕骨をつなぎます。肩関節をまたぐ部分では、それぞれの筋の腱が腱膜様の組織(腱板)となり、関節包とともに肩関節を包んでいます。

肩関節において、関節包や靭帯が「静的安定機構」と呼ばれるのに対し、ローテーターカフは「動的安定機構」と呼ばれています。これは肩関節を動かす際に、上腕骨頭を肩甲骨との関節面である関節窩(かんせつか)に引き寄せ、上腕骨と肩甲骨の適合性を高めているためです。


肩関節(肩甲上腕関節)では、肩甲骨の関節窩面を上腕骨頭が動きます。この動きには、「軸回旋運動」、「転がり運動」、「滑り運動」などがあり、これらが複合的に作用することで肩関節はスムーズに可動します。

この動きのリズムが崩れると、肩関節内において、本来ぶつからない部分が衝突したり、強く擦れ合うようなことが起こり、肩関節障害のリスクが高まります。

例えば、❝前ならえ❞のように腕を前方へ上げて行く動作では、上腕骨頭が肩甲骨の関節窩を「転がり運動」により前上方へ移動して行きます。さらにバンザイをするように上方への動きを高めて行くと、上腕骨頭の運きは「滑り運動」へと切り替わり、移動の方向も徐々に後下方へと向かいます。

肩関節の後下方には関節包や靭帯とともにローテーターカフである棘下筋や小円筋、さらに大円筋や上腕三頭筋といった筋が位置し、肩甲骨と上腕骨をつないでいます。これらの組織が硬く短縮した状態にあると、硬い壁のように上腕骨頭の後下方への「滑り運動」を制限してしまうため、上腕骨頭は後下方への行き場を失い、腕を高く上げるほど前上方への「転がり運動」を強めざるを得なくなるのです。

肩関節の上部では、肩峰(けんぽう)という肩甲骨の骨の一部が屋根のように外側前方へとせり出しているため、上腕骨頭が前上方への「転がり運動」を強めて行くと、やがて、この肩峰の下面にぶつかることとなります。

肩峰の下面と上腕骨頭の間には、ローテーターカフのうちの一つである棘上筋や肩峰下滑液包といった組織が位置しているため、これらの組織は両骨によって強く圧縮されたり、摩擦されることとなって傷むのです。

これは「インピンジメント症候群(挟み込み症候群)」と呼ばれ、肩のスポーツ障害でも非常に多く見られる疾患です。

酷くなると棘上筋腱の損傷や断裂、また、肩甲骨の関節窩のまわりを取り囲む軟骨組織(関節唇)の損傷など、器質的な外傷へとつながってしまうこともあります。

このようにローテーターカフをはじめとした肩関節筋群や関節包、靭帯などの硬化・短縮は、上腕骨頭の正常な動きを乱し、肩関節の障害を招く要因となるため、これらの組織を柔軟に保つことはとても大切です。

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