U.G.M.(利重力身体操作法)的「正しい姿勢」を引き出すためのポイントとは、、
1.「肩甲骨の下方回旋」
↓
2.「胸腰椎移行部の伸展」
↓
3.「骨盤の前傾」
以上の3つです。
この3つのポイントが自然に抑えられていれば、「正しい姿勢」が取れていると言えます。
とは言え、こんな言葉、はじめて聞いたという方も多くいらっしゃるかと思いますので、それぞれのポイントについて、説明して行きます。
1.「肩甲骨の下方回旋」
これは「正しい姿勢」を取るための最初のポイントとなります。
関節は二つ以上の骨によって作られていて、通常、その関節をつくる骨には「筋肉」、「靭帯(じんたい)」、「関節包(かんせつほう)」などの組織が付いています。
健康な筋肉は伸縮性に富んでいますが、靭帯や関節包といった組織は筋肉のように伸縮しないため、最終的な関節の可動域はこれらの組織によって制限されます。
肩甲骨は鎖骨や上腕骨(二の腕の骨)とつながり、関節を作ります。これらも関節包や靭帯によって補強されていますが、肩甲骨はもう一つ関節を作っています。
それは肩甲骨と肋骨の間の部分になります。
この部分は「肩甲胸郭関節(けんこうきょうかくかんせつ)」と言われ、構造的には、関節というよりも肩甲骨と肋骨の間の隙間のようなものです。
この肩甲骨と肋骨の間には靭帯や関節包はなく、ただ、筋肉によってつながっています。
肋骨の前の部分からは「小胸筋(しょうきょうきん)」、肋骨の脇の部分からは「前鋸筋(ぜんきょきん)」といった筋肉が肋骨と肩甲骨をつないでいます。
さらに肩甲骨と背骨の間は「僧帽筋(そうぼうきん)」や「菱形筋(りょうけいきん)」といった筋肉によってつなげられています。これらの筋肉が柔軟であれば、肩甲骨は肋骨との関節面を大きな範囲でスムーズに動くことができます。
実際、肩甲骨は、「挙上・下制」、「内転・外転」、「上方回旋・下方回旋」といったように多様な方向に動きます。
さらに、「立甲(りっこう)」といって、肋骨から離れるように立体的に動くことも可能です。
スポーツなどでは、このような肩甲骨の動きが複合的に行われることで、肩甲骨とつながる腕を大きくダイナミックに動かすことができ、速球を投げたり、大きなストロークで泳いだりすることを可能にしています。
さて、このようにいろいろな方向に動くことができる肩甲骨ですが、「良い姿勢」では、肩甲骨が下方回旋をした位置にあることが条件となります。
「肩甲骨の下方回旋」とは、逆三角形の形をした肩甲骨の下の角が背骨に寄るように斜め内側下方に下がった位置です。
これは、背筋の力で肩甲骨を背骨側に向かって引き下げればできますが、楽に良い姿勢を取るためには、背筋の力を使わずに、自動的に肩甲骨がその位置に収まることが理想です。
では、筋力を使わずに、いったいどうやって肩甲骨を動かすのか、、、?
次回はその秘訣について、お話していきます。